今年は、インフレを特に実感する年ではないかと思います。
その理由は、去年の暮れ頃から食料品メーカーは、こぞって今年(2022年)に値上げすると予告をしていましたから。
なぜなら、ガソリン価格が高止まりをしているので、当然に食料品の値上げに留まらないからです。
電気料金などは今後も引き続き値上がりするでしょうし、配送料や輸入品などの値段も上がっていくでしょう。
恐らく、公共料金から、ありとあらゆるサービスや物の値段が上昇していくはずです。
もちろん、世の中に絶対はないですから100%そうだとは言い切れないですが、確率は非常に高いと言えます。
インフレが怖いと思われるでしょうが、確かに怖い面があるものの、だとしても正しく怖がるのが何より大事なのです。
ということで、楽観的なシナリオと悲観的なシナリオの2つを一緒に見ていきましょう。
楽観的なシナリオとは、給与が上がることです
インフレには、良いインフレと悪いインフレの2種類がありますよね。
現在は、悪いインフレの傾向にありますが、もしも、良いインフレになるとすればインフレに伴って、私たちの給与が上がっていくことが考えられます。
今まで、私たち日本人はデフレ状態でしたから、インフレには慣れていないのです。
ただ、一斉に値上げをすることで消費者がインフレに慣れてしまって、流行病のリベンジ消費と相まって商品がたくさん売れるとします。
するとどうなると思いますか?
まず、売上と利益が伸びますから、その利益を人件費に還元することで、給与が上がりますね。
恐らく、今年は基本給が上がらず、ボーナスが上がる形となるのではないかと思います。
そうすると、手取りが増えた消費者が、更に沢山の買い物をするという好循環となります。
これが楽観的なシナリオの一つですね。
悲観的なシナリオはスタグフレーションです
悲観的なシナリオですが、これは物の値段だけが上昇して給与は上がらない、もしくは給与は寧ろ下がる一方だという、スタグフレーションです。
スタグフレーションになると、先ほど説明をした楽観的なシナリオの、真逆のことが起こります。
つまり、消費者は給与が上がらない。
また、購買力が上がらないため物価が上昇した分、買い控えが起きてしまいます。
そうすると、売上と利益が縮小してしまって、従業員の給与やボーナスは更に低下してしまいます。
すると、ますます買い控えが起きてしまってという悪循環なのです。
現在のインフレっていうのは、コストプッシュインフレと言われていて輸入物価の上昇によるインフレ傾向ですが、そうなってくるとどうなるのでしょうか?
原材料費や輸送費がかさんでしまい、利益に繋がりにくくなります。
ですから、給与は当然上がらず物やサービスの値段だけが上がるという、スタグフレーションが起きてしまうのです。
まずは基本を押さえましょう
楽観的にしろ悲観的にしろ、今後の備えを怠るわけにはいかないです。
特に、悲観的なシナリオになるのなら、今一層、気を引き締める必要があります。
どういうことか言いますと、節約が大事なのだから節約だって言う、根性論で乗り切るような考え方は捨てましょうと言うことです。
大事なのは、合理的に備えるべきです。
これも普段から、私たち独立系のファイナンシャルプランナー(FP)が、FP事務所を開業して以来ずっと言い続けていることなのです。
それは何かと言いますと、しっかりとしたライフプランで戦略を立てようと言うことです。
計画と戦略がなければ頑張っても、それは場当たり的なのです。
そもそも、何が十分であるのか、何が曖昧で過剰なのかも分からないですしね。
そういう場当たり的な対処では、インフレという傾向に対抗をすることは難しくなります。
だからこそ、きちんとした戦略・計画に取り組んで、私たちの労力を必要最小限にしつつ効果を最大化できるようにする。
結局のところ、こういったライフプランを作って備えるのが、一番のベストな備え方です。
そして、スタグフレーションで、個人で対策できることを考えましょう。
その前に、スタグフレーションの意味や日本の現状を確認しておきましょう。
スタグフレーションとは?
解りやすく解説しますと、まず、経済不況になると雇用や賃金が減少して物価が下落しデフレとなり、貨幣の実質的価値は上がって消費額が抑制されます。
そして、預貯金の実質価値は、維持または増加します。
ところが、経済成長が鈍く失業率が高い停滞時期に、物価の持続的な上昇(インフレーション)が同時に起こると、スタグフレーションに陥いります。
スタグフレーションが起きる原因の1つとして考えられるのが、1次産品(原油等の資源や米等の農産物)の価格が、景気とは関係ない理由で上がってしまうことです。
戦争や災害の影響で需要に対する供給が間に合わなくなると、物価が上がるだけではなく企業の生産活動にも悪影響を与え、失業率のアップにも繋がる可能性が高くなります。
実際に、日本でスタグフレーションが起こったのは、1974年の第一次石油ショック時です。
第1次石油危機が勃発した1974年当時、日本の消費者物価指数は、23%も上昇してしまい生産業を縮小して失業者増大を招いてしまった。
その当時の、日本の実質GDPですが前年度の+8.0%から、マイナス成長へと転じてしまいました。
経済不況下の物価高騰というスタグフレーションでした。
では、現在の日本はどうでしょうか?
物価の上昇について
物価の上昇から一緒に考察していきましょう。
食料価格の急ピッチな上昇ですが世界食料価格指数(2014~2016年=100)が、2011年9月以来の高水準に達して、前月比で1.2%高、前年同月比で、32.8%高となっています(国連食糧農業機関10/7発表)。
肉・乳製品・穀物・植物油・砂糖などが、20~60%高と食料価格全体が高騰しています。
日本でも2021年10月に、小麦粉・パスタ・食料用油・コーヒー・マーガリンなどの価格が引き上げとなりました。
この原因は、パンデミックによる物流を含む世界的なサプライチェーンの混乱からによるものなんです。
パンデミックによって停止していた飲食店の営業が世界的に再開され、需要が供給を上回ったからなんです。
また、石油製品価格の高騰とレギュラーガソリン価格ですが、全国平均で1リットル=160.0円となり、2018年10月以来となる約3年ぶりの高値圏となりました。
この原因も、パンデミックからの世界経済の回復が急ピッチに進んでいることで世界的に輸送用エネルギーの需要が急激に回復しているからになります。
そのため、石油輸出国機構(OPEC)プラスの閣僚級会合が開催されましたが、従来の合意内容に沿う緩やかな増産を確認するのに留め、積極的な政策対応を講じることを見送りました。
原油価格の高騰は、ガソリンや軽油、灯油といった石油製品価格の値上げに加えて電力料金価格、ハウス栽培の野菜価格、輸送コストなど生活に直結した幅広いモノやサービスの値上げに直結します。
そして、石炭の供給が間に合わない電力不足の中国は、数十パーセントの電力値上げを容認しました。
円安原油価格の上昇に加えて円安が同時に進行して、企業が輸入で原材料を仕入れるコストが上昇したことによって、9月の国内企業物価指数は、前年同月比6.3%上昇の106.4で、プラスは7カ月連続です。
指数になりますが、2008年8月以来の高水準でなんと13年ぶりの記録となっています。
景気の停滞について
需要の減少やパンデミックでの感染拡大防止に伴って、経済活動の基礎となるヒト・モノ・カネの移動が制限されることになります。
渡航制限によるインバウンド需要の落ち込みや外出制限、政府による大規模イベントの自粛要請など、消費関連企業から素材関連企業まで、サプライチェーン全体に影響が及んでいます。
供給の減少・金属や木材・半導体といった材料不足などの価格高騰が製造業にも影響を与えています。
東南アジアでのパンデミックによる部品生産の停滞が、自動車産業に影響を与えるなど飲食・宿泊など旅行業界以外への影響も広がってきています。
流行病の先行きの不確実性や失業の増加・所得の低迷は、消費・投資の手控えによる需要減・供給減と危機の連鎖を生んでいます。
以上から、スタグフレーションは既に始まっていると言えるでしょう。
個人・個人でできること
このままでは、実質賃金や資産価値が減っていきます。
なので、それぞれ対策をとる必要があります。
まず、株についてですが、不況が予想されると株価は下落しインフレだと上昇すると予想されます。
スタグフレーションでは一概には言えませんが、金融緩和策を当分続けるため政府の株支えは続き、懸念された金融所得課税も当分なさそうな状況になったということから、個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)や積立NISAなどを利用して徐々に投資をすることが好ましいですね。
外国株・投資信託についてですが、更なる円安へのヘッジとして高配当の米国株・投資信託への投資が考えられます。
日本よりも米国の方が景気の回復は早く、長年にわたる株価の上昇の程度も大きく違います。
円高は懸念されますが、これも時期をずらしながら、じっくりと買い進むことで危険を最小限にできます。
金(きん)についてですが、物価が上がって貨幣価値が低下したときに頼りになるのが、安全資金の金への投資となります。
円安に伴って価格は上昇しますので、円安へのヘッジとしても有効です。
自身の市場価値を高める
45歳定年制など、どこの企業でも確かな将来はありません。
将来の産業や世の中の動きを読み、今の自分にどのような価値を付加すれば市場価値を高めることができますか?
自分の得意な点を改めて棚卸して戦略を練り、早くスタートすれば費用をそれほどかけずに達成可能と思われます。
ただ、どのような場合でも、一番大事なのは健康ですので体と精神の健全さをたもつための運動や趣味は大切です。
無駄を省きます
節約と言いますと後ろ向きに聞こえますが、お金だけではなくて時間の無駄を省くことも大事なのです。
つまり、収入や支出の全体像を掴むことも、アプリを使えば短時間で可能だって言うことです。
例えとして挙げるなら、クレジットカードなどは、ポイントの効率良い貯め方をすること。
また、政府の様々な施策を有効に活用すること。
無駄な電力の使用をしなければ、環境に優しい生活に切り替えることになります。
スダクフレーションの反対語ってあるの?
スダクフレーションの反対語って何でしょうか?
インフレーションの反対語はデフレーションですよね。
停滞の反対は好景気だから、デフレ下の好景気って言うことで、物価は安くなって賃金が上がるという理想の経済社会っていうことでしょうか?
ただ、好景気で賃金が上昇して物が売れれば、企業は商品価格を上げられるから、このような状態はなかなか到来しないですよね。
したがって、この状態を適切に表す言葉っていうのは、見当たらないです。
なら、アンチスタグフレーションですか?
それとも、NOTスタグフレーションですか?
結論として言えば、スタグフレーションの反対語と言うのは無いのです。
政治家の誰かが、そういう言葉や意味でキャッチコピーとして日本の経済をより良くして、国民の皆さんが安心して暮らせる社会になれば良いと思います。
これで、いかにライフプランやリタイアメントプランが大事かが分かって頂けたかと思います。